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更新日:2022年4月7日

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令和4年度 秦野総合高等学校定時制入学式 校長あいさつ

令和4年度 秦野総合高等学校定時制入学式 校長あいさつ  

  秦野総合高等学校 校長の奥津 賢一でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 

 ただ今、入学を許可しました(15回生)11名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。入学に至るまでの努力を称えるとともに、本校への入学を心から歓迎いたします。また、お子様をここまで見守り、支えてこられました保護者の皆様には、心からお祝い申し上げます。

 さて、みなさんが自分の進路として選択した「総合学科」では、自分の興味・関心や進路希望に応じた独自の時間割を作って学習していきます。また、時間割の組み方によって、3年で卒業するか、4年で卒業するかも自分で決めることになります。 

 1年次では、将来の「なりたい自分」を明確にし、確かな科目選択ができるよう、「産業社会と人間」という授業を全員に履修していただきます。それらの学びを通じて、地域社会に貢献できる人材の育成を目指してまいります。 

 本日、皆さんが秦野総合高校の一員となるにあたり、私からは「ともに生きる社会の実現」というお話をします。

 今から6年前の2016年7月26日、相模原市にある県立の障害者支援施設、「津久井やまゆり園」において、「障害者はいなくなったほうがいい」といった偏見を持つ元職員によって、多くの入所者が殺傷されるという極めて凄惨な事件が発生しました。このようなことが二度と繰り返されないよう、神奈川県では、障害の有無にかかわらず、一人ひとりのいのちを大切にすること、障害者がその人らしく暮らすことのできる地域社会の実現をめざすこと、障害者へのいかなる偏見や差別も排除することとしました。

 ここで、「障害」や「障害者」ということばについて考えてみてください。ある辞書によると、「障害」とは、心身の機能が十分に働かず、活動に制限がある状態であり、「障害者」とは、障害によって、継続的に日常生活や社会生活に制限を受ける状態にある人としています。 

 私は今、コンタクトレンズをしています。レンズを取ってしまうと、車の運転どころか、目の前の人の顔さえ判別できないでしょう。つまり、裸眼の状態であれば、私は障害のある人間と言えます。しかし、私のことを周囲の人は障害者とは認識していません。それは、コンタクトレンズという、視力を補うテクノロジーの発達によって、制限を受けることなく生活できているからです。 

 私は血圧が高いので、毎日血圧を下げる薬を飲んでいます。もし、このような薬が開発されていない時代に生まれていたとしたら、私は脳や心臓の病気でとうに命を落としていたかもしれません。つまり、障害があるかないかという定義は、実は、その時代の医療技術や科学技術の進歩と密接に関連しているのです。 

 「人生100歳時代」を迎えた今、すべての人が何らかの障害を抱える可能性があります。それがテクノロジーによって解決できればよいのですが、もし、心や身体に障害を抱えて日常生活に制限を受けている人が周りにいたら、時代がその人に追いつくまで、ともに生きる社会の一員として、どうかサポートをしてあげてほしいのです。自分自身も含め、一人ひとりのいのちを大切にする、そんな優しさにあふれた高校生活となるよう、切に願っています。

 最後に、新入生の皆さんが、新しい人生のステージに立つ今日この日をスタートとし、これから秦野総合高校という学び舎で大きく成長されますことを祈念し、式辞といたします。