ひとこまコラムリターンズ 第1走者

難しく考えずに

『美女と野獣』


『美女と野獣 とびだししかけえほん』
サブダ, ロバート【作】
ふゆき けいこ【訳】
大日本絵画
(2011年発売)

 カウンターにいると、「本なんて読んだことない」「何が楽しいのか分からない」などの言葉をよく掛けられます。その度に、興味をもってもらうことの難しさに頭を悩ませます。
それでもカウンター前に置いてあるパラパラ絵本や仕掛け絵本を薦めてみれば、触れようとはしてくれるので、有名な話ならもっと手に取りやすいのではないかと思い、ならばとびきりインパクトのある本で!と購入したのが仕掛け絵本の『美女と野獣』でした。仕掛けてあります!と主張されたその厚さは約7cm。開けば顔にぶつかるのではと心配する程とび出すお城の高さは26cm以上で、ステンドグラスを彷彿とさせる色彩と、ギシギシとなる音が独特な世界観を漂わせ、絵本でありながら大人の雰囲気も醸し出しています。本を開いた生徒の一言目は「すごーい!」で、続いて「これやばい」です。同じような言葉を発しながらも、次々ページを捲る子と、恐る恐る捲る子にわかれるのが印象的です。
 見終わると以前から置いてあったものにも手を伸ばす生徒が多く、次に来館したときに、友達に紹介している光景を見るようになりました。そんな時、邪魔をしないようチラ見をしながら、ここは何かがある場所という事に気が付いてもらえたかな?と感じる時があります。図書館には何か自分が面白いと思えるものがあるかもしれない、そう思えるきっかけを作ってあげられたらと思いつつ、試行錯誤の日々が続きます。

<Y・N>
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