ひとこまコラムリターンズ 第17走者

図書館の虫を見て身近な虫に関心がわいた   2020/01/29更新 

『虫の目になってみた』


『虫の目になってみた
   ―たのしい昆虫行動学入門』
海野 和男【著】
河出書房新社
(2016/09)

 本校の図書館は中庭に面した南校舎の2階に位置し、とても恵まれた環境にあります。中庭では鳥がさえずり木や草花を見渡せるため、季節を感じることができるのです。しかし、ただひとつ困ったことが。それは、中庭で発生した虫たちが、20cmほど開いたそれぞれの窓から入ってくることで、安全のため全開しない窓には網戸が設置されていないため、冷房暖房を入れない時期には迷い込んでしまうのです。一番多いのは蚊で、次に多いのはジバチです。その浮遊している飛び方は不気味で生徒たちは「先生、蜂が〜」と逃げ惑うため、私は、その都度ほうきとちり取りを手に蜂に立ち向かいます。スズメバチが入ってきた時は、さすがに闘う気にはなれませんでしたが。
 そんな中、面白い本を見つけました。昆虫写真家である海野和男さんのこの本は、昆虫の生態が昆虫目線で書かれていて、写真は生命力あふれた力強いものばかりです。
 ミツバチの体重は0.1グラム。ミツバチをジャンボ機の大きさと仮定すると、ジャンボ機の約36倍の重さになる。速度は250倍だそうです。ホバリング能力は高く、翅を羽ばたくと同時に8の字型に回転させて空中停止するという高度で複雑なことをいっぺんにしていて、翅がもげないのは、羽ばたきで生じる慣性力を打ち消すような回転運動を翅に与えているのだそうです。
 知られざる虫の生態は、虫目線のこの本を読めばなるほど納得!驚きの発見の連続です。なにより、小さな虫は生きるためのエネルギーの塊であり、そのたくましく生きる力を生徒が感じてくれたら嬉しいなと思います。


<石坂美紀>
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