ひとこまコラムリターンズ 第21走者

あれから2年……   2020/05/25更新 

『夏目友人帳(花とゆめコミックス)』


『夏目友人帳(花とゆめコミックス)』
緑川ゆき【著】
白泉社
(2005/10〜)
*2019年5月に24巻が発売

 返却期限がそこそこ過ぎた『夏目友人帳』の数冊を手にして、その生徒はカウンターにやって来ました。何かひとこと言ってくれるのかなーと半分期待したのも束の間、涼しげな表情を崩さず、しれっと本を手渡されました。「あら、しれっと返してくれるのね」と私もつい口を衝いて出ていましたが。
 思えば、ほとんど初めて図書館で本を借りたようで、どんなヤツだろうと私のことをジーッと窺っている表情でした。
 その後の記憶は曖昧なのですが、今では仲の良い友だちも一緒に図書館の常連として足繁く通ってくれています。もちろん、「しれっと返却」後は彼女は順調に『夏目友人帳』を読み進め、既刊本すべて読了しています。たしか、その間に銀髪の子の魅力を一緒に語り合ったような。
 妖怪や異形のもの、スチームパンクのイラストが好きだとも話してくれ、わかるわかると田中達之のイラスト本を紹介すると、目を輝かせて見てくれたのが思い出されます。

 「大丈夫。友だちが友だちを連れて来てくれるよ」
 学校司書として初めて着任するとき、学校司書も経験されたベテランの、ある先輩はこうエールを送ってくれました。
 こうして2年経った今、在宅学習期間で会えない生徒たちのひとりひとりを思い浮かべては、まさにその通りだったなあと感じ入る今日この頃です。



<佐藤>
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