ひとこまコラムリターンズ 第24走者

ゴキブリを「探究」する   2020/08/28更新 

『ゴキブリだって』


『ゴキブリだって愛されたい 昆虫たちの都市
伝説』
メイ・R.ベーレンバウム【著】
久保儀明【訳】
青土社
(2010/07)

 本校の図書館では、生徒のみなさん自身がパネリストになって知識や体験をシェアするコーナーを設けています。昨年から、昆虫や爬虫類が好きなグループが展示会をたびたび開いていて学内外で人気を博しています。その中に、「みんなはゴキブリを嫌うけれど、それは単なる先入観であり、これも立派な一つの命である」というモットーで国内外のゴキブリを展示する生徒がいます。来館した生徒のみなさんは、最初は恐る恐るケージを覗いては「いや、これに慣れることはない…!!」と戦慄しているのですが、不思議なことに毎日一緒にいると、海外の翅のないゴキブリなら見ていられる、とか、これはコオロギかもしれないなどと積極的に勘違いをしてみたりして、だんだんとゴキブリに愛着のようなものも生まれてきたりします。(愛着にまで至ったらゴキブリを分けてもらえます)
 あなたが、ゴキブリを嫌うのはなぜですか?彼らが出没したときに誰かが奇声を上げながら退治しているのを見て「あれは忌み嫌われるものなのだ。」と幼い時に学習しただけではないですか?図書館というのは、ある事実を突き止めるための情報を提供する場です。この本を読んで、ゴキブリについて「探究」しませんか?とは言うものの、今日も見慣れた日本のゴキブリを目の前にして、スタッフ二人は葛藤をしています。


<勝田>
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