ひとこまコラムリターンズ 第28走者

司書という仕事   2020/12/23更新 

『司書という仕事』


『麦本三歩の好きなもの』
住野よる【著】
幻冬舎
(2019/03)

 「司書ってどうやったらなれるの?」毎年、何人かは聞いてくる。
 小学校・中学校の図書館に勤務していた時も必ず聞かれたので、図書館の常連さんにとっては、年齢関係なく気になるところらしい。
 放課後、閲覧室でブックコート掛けをしながら、常連さんとたわいもない話をしていると、わらわらと何人か集まってきて、1冊ブックコートをかけ終わった瞬間「かっこいい!!」と歓声が。最初、何がかっこいいのかわからなかったのだが、聞いてみると30cmものさし1本で本をコーティングする作業が職人技に見えるのだそうだ(笑)
 それをきっかけに、司書になるには……という話題になり、ひとりが「『麦本三歩の好きなもの』を読んで、司書の仕事いいなぁと思った!」と告白。高校生に大人気の住野よるさんの影響はこんなところにもあったのか!
 その後、「本の編集者もいいな」「本をデザインする仕事もやってみたい」「お給料高くてブラックじゃない仕事がいい」などと将来のお仕事談議に花を咲かせているのを隣で聞きながら、そういえば、数ある職業の中で、「司書」は決してメジャーじゃないけれど、司書が登場する小説・ライトノベル・マンガは、つらつら思いつく程度には存在するし、「秘密の鍵を握るのは学校司書」なんていう設定の話もあったような……などとぼんやり考えてみた。きっと書くことを仕事に選んだ人たちにとっては、司書は身近な存在だったのだろう。
 今、目の前にいる生徒たちが、将来どんな仕事に就いたとしても、高校時代に図書館でまったりした時間を司書と過ごしたことを、記憶のほんの片隅にでも残しておいてもらえることができたなら、それは学校司書にとって最高の幸せなのだろう。




<豊原>
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