ひとこまコラムリターンズ 第48走者

展示の醍醐味   2022/09/07更新 

『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』


『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』
朝霧カフカ【著】
KADOKAWA/角川ビーンズ文庫
(2019/8)

 図書館展示をした際にテッパンだと感じられる作品に『文豪ストレイドッグス』シリーズがあります。中島敦や森鴎外など授業で一度は耳にしたであろう名だたる文豪の名前を冠したキャラクターが多数登場し、その文豪の作品名が付いた必殺技を使って異能バトルを繰り広げるコミックです。小説、ゲーム、アニメ、映画など幅広くメディアミックス展開され、図書館ではコミックも小説も生徒に根強い人気です。
  加えて普段、単体では中々手に取られない古き良き名作文学ですが、『文スト』の元ネタ本として展示しておくと「これ知ってる!」「これ気になってた!」という声が聞こえてきます。気付いてくれたのだと思わずにっこり。また中には特定のキャラクターに対するコアなファンがいて、モデルとなった文豪の素顔がわかる本を一緒に並べておくと、推し活のためにと嬉しそうに借りていきます。
  カウンターに来て「太宰さん推し」について語る生徒、「安吾さん推し」について語るまた別の生徒。学年も性別も違い、推している好みのキャラも違いますが、熱い『文スト』ファン同士、趣味友になれるのではと本人たちに話してみたところ、互いに話してみたいとの返事。「今日は来てる?」と度々図書館を覘くのですが、残念ながらすれ違っているところです。
  一冊から興味がどんどん派生していく様子や、人との出会いにまで繋がるかもしれない瞬間に立ち会っていると、図書館っていい場所だなとつくづく思うのです。今度はどんな展示にしようかな。

<津田>

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