ひとこまコラムリターンズ 第63走者

ほかほかあたたかい居場所を目指して   2023/11/30更新

『きょうのおやつは かがみのえほん』
『きょうのおやつは かがみのえほん』
 わたなべ ちなつ【さく】
 福音館書店(2014/10)

 図書館オリエンテーションや授業利用などで、自分の意志ではなく図書館を訪れた生徒からよく投げかけられるのが「なんか面白い本ない?」という難易度の高い質問です。何の気なしに言っているのかもしれませんが、こちらとしては司書としての力を試されているような気分になり緊張します。
 そんな私が緊張しつつよく紹介するのは『きょうのおやつは』です。手のひらより少し大きいくらいの絵本で、見開きの片ページが鏡のように反射する紙で作られています。本を開き、片ページは机に平らに置き、もう片ページの鏡のページを机に対して垂直に立てると……鏡の奥に、ボウルやフライパン・テーブルが広がるのです。「ただの絵本じゃん!」とぶつくさ言っていた生徒も、ボウルに注がれる卵や牛乳を目にするとぱっと目を開き、どんどんとページをめくりホットケーキ作りを進めます。フライパンから湯気が上がるページではほわほわとした顔になり、ホットケーキをひっくり返すのを見て息を止め、仕上げにメープルシロップをかけるシーンでうっとり。何時かに関わらず、「おなかすいちゃった〜」と言いながら本を閉じる生徒が多いです。
 「図書館でおやつやお弁当を食べるのはだめだけれど、こういう本を読んで友達とほっこり休憩するために来ていいんだよ」ということを伝えます。狙いは、ルールがあるということと、無理に難しい本を読む必要はなく、校内で過ごす居場所の選択肢の1つとして図書館があるということを知ってもらうこと。本校の図書館は決して利用が多いとは言えませんが、この1冊から親しみを持ってもらえるといいなと思っています。

<とさみゅ>
『きょうのおやつは』読み方紹介Youtube動画
福音館書店「kagaminoehon」
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