更新日:2021年3月9日

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けやき第177号

時代が変わっても大切なこと

昭和、平成、そして令和と時代が変わる中、教育もまた特殊教育から障害児教育、特別支援教育へと変わってきました。今後はインクルーシブ教育となるのでしょうか。時代は流れても、私たちが指導の上で大切にしたい基本的なことは、今も昔も変わらない。今回は卒業後に求められる「企業の視点」を参考に、皆さんが「今」実際に行っている指導の大切さを再確認しようと思います。

NPO法人障害者雇用部会前理事長の土師修司氏は、講演会で「障害者の就労」に向けてのポイントを3つ述べています。(1)指示されたとおりにやる(2)時間(約束)を守る(3)体力をつけるです。日々の指導の具体例としては、(1)は、本人にとってわかりやすい手順を示して、できたら褒めて定着させる。(2)は、事前にルールを決め、それを守る。行動の切り替えが難しい場合は、切り替えのポイントを押さえて、切り替えが「できた」という成功経験を積み重ねる。(3)はそのものズバリ「体力づくり」。世の中の職業を見渡すと、「立ち仕事」「体力仕事」は意外と多いのです。

また、同じNPO法人障害者雇用部会現理事長の山下雅夫氏は、「企業が求める人材」について、次の4点を述べています。(1)自分のことは自分でできる(2)最低限のコミュニケーションをとることができる(自分から発信することができる)(3)懸命に実務に取り組む姿勢(4)周りの人に迷惑をかけない、です。(1)着替え、身支度、食事、排せつなど、自分の身の回りのことに関するいわゆる「日常生活の指導」は、やはり大切なのです。(2)自分からの発信は、好き・嫌い、やりたい・やりたくない、はい・いいえ等をはっきり言える環境に加えて、自分から発信したことが認められる経験が大切です。そして、これが3択、4択と選択の幅が広がるとより良いですね。(3)は真面目さ、誠実さ、集中力でしょうか。まずは好きなことや興味があることに没頭する経験を積み、それを別のことにも広げていく。(4)は、これさえあれば安心、これがあれば5分間待てる、といった、落ち着くため、一人で過ごすための「お守りグッズ」をいくつ持てるかが鍵です。「迷惑」というと、大きな声をあげる、離席する、物を壊す、人に危害を加える、等のいわゆる「問題行動」が思い浮かびますが、原因がわかれば対応も可能です。合図を決めて別の場所に移動してからやる、そもそもやらずに済むような環境条件を整える、などです。これらを意識しながら、例えば食事の「おかわり」の要求や、おやつの選択、活動の選択などの「日頃のやり取りの機会」を通して指導を積み重ねていきましょう。児童・生徒自身が「自らの働きかけで結果が変わるんだ」、「成功体験を通して、自ら学び、学ぶことが楽しい」と思えることは、実は校長の教育方針「Fun To Learn ~主体的・対話的で深い学びの実践~」につながるのです。

いかがですか。ご家庭や学校で取り組んでいる日々の指導は、将来、卒業後にもつながる大切なことです。本校に在籍する児童・生徒は、「ゆっくり育つ、じっくり育てる」子どもたちです。ご家庭、学校、関係諸機関等で方向性をそろえて協力して指導していくことができると効果倍増ですよね。そのためのツールである「個別教育計画」については、また別の機会にお話しできればと思います。

(教頭 名古屋 学)