更新日:2021年3月9日

ここから本文です。

けやき第181号

共に将来の夢を語ろう!「個別教育計画」

読者の皆さんは、目の前のお子さんが高等部卒業後、どんな生活を送ってほしいですか?本人の希望保護者の願い担任の思い社会から求められる力など様々な視点を考慮して、子どもを支える関係者で指導の大きな「方向性(ベクトル)」をすり合わせることは大切です。私は、個別教育計画は、担任の「所信表明」と「本人の希望、保護者の願い」をすり合わせ「共に将来の夢を語る」ための「ツール」だと考えています。

例えば、「スプーンを使い、介助がなくても自力で食事ができるようになりました。」素晴らしい!!でも、私はあえて問います。「だから、何?もう一声!」。担任はどう見立てているのか?その根拠は?今後の方針は?担任として将来どう育ってほしいのか?この「もう一声」の視点が、「担任の「所信表明」なのです。事実は一つでも、その見立て、指導の方向性は、担任によって異なるはずです。例えば、「今、とてもやる気になっているので、今後は本人からの援助要請行動の表出を促すため、見守る指導に移行します。」あるいは、「スプーンの使い方は技術的にも安定してきているため、今後はフォーク、お箸など、食材に応じて食器を使い分ける練習に移行します。」

ここで本人の希望保護者の願いをブレンドしましょう。「家の食器ではしっくりこないです」。「では、今後は専門職と連携して、より食べやすいスプーンの角度やグリップの調整など、本人に合わせた道具の作製に取り組みます。」あるいは、「就職を控え、外食の時が心配で…」「では、今後は、社員食堂の利用を見据えて、姿勢やマナーの指導に取り組みます。」等々話し合いながら修正、発展できるとよいですね。

また、教員にはそれぞれ得意な領域(専門性)がありますので、指導の切り口が保護者の願いとズレることもあります。話し合う中で、子どもの成長を一番促せる落としどころを見つけましょう。

個別教育計画は本人の実態に合わせて積み上げる視点が基本なので、ゴールから逆算する視点が反映されにくいです。5年後、10年後を見据えるのは難しいことかもしれませんが、個別教育計画の面談を、現在地とゴールゴールまでの道のりを確認する機会にできるとよいですね。

最後に私の失敗談。私が在宅訪問(通学が生命のリスクのため家庭訪問で授業を行う)担当の時の話です。進行性の障害で、一年の半分は入院という児童のお母さんが「先生が一生懸命なのはよくわかります。でも私たちは明日、来週を考えるとつらいので、その日暮らしでいい。なので、これは受け取れません。」とおっしゃいました。個別教育計画は「成長を前提としたモデル」なので、マイナスの方向に変化した場合なじみにくく、負の側面もあると反省しました。保護者と一緒に泣き、何度も話し合いを重ね、私がたどり着いた結論です。マイナス方向への変化も含め、「お子さんの成長」を共に確認し合い、喜び合って、共に将来の夢を語り合うための「ツール」、個別教育計画を有効活用しましょう!

(教頭 名古屋 学)