ひとこまコラム バックナンバー

「何かない?」の一冊に 2012/09/27更新 【チームやまゆり #3】

僕らのごはんは明日で待ってる 『僕らのごはんは明日で待ってる』
瀬尾まいこ【著】
幻冬舎
(2012/4発行)

 4月に勤務先を異動して、ばたばたとすごしているうちに夏休みも終わりました。司書が代わってしばらくは、生徒もこちらもなんとなく探りあいのような雰囲気になったり、かと思えば「司書さんはみんな一緒!」とばかりに「私の好きそうな本ない?」なんて初対面で言ってくるツワモノ?もいたり。
 専門コースばかりで普通科のない単位制の学校なので、朝の開館から放課後まで生徒がわいわいと来館し、それぞれの専攻の専門書をあれこれ探したりとやる気にあふれた高校生に囲まれていたら、ふと読み始めたこの本の「小説らしい穏やかな面白さ」に心をひかれました。帯には「感動長編!」とありますが、長くはないから読みやすく、恋愛系ですが甘ったるいだけでもなく、男子にも女子にも安心してすすめられます。
 生徒から「なんか面白い本ない?」と聞かれた時、「話をしたいのかな、すぐ読める本が欲しいのかな」と迷うことがありますが、読書がしたい!という生徒にパッと差し出せる心強い本の一冊になりました。

<殿山由美子>
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