ひとこまコラム バックナンバー

自分の感受性くらい   2013/5/30更新 【チームやまゆり #11】

『わたしが一番きれいだったとき』 『わたしが一番きれいだったとき』
茨木 のり子 【著】
毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)
(2010/02 出版)

 本を読まない司書です。生徒に「おススメの本なぁい?」と聞かれるたびに汗って(焦って)おります。読まねばなりませんねぇ。と思いつつ、読むのも遅い、忙しい(言い訳)、というわけでなかなか読めません。ブックトークなんて依頼されようものなら「ひーっ」なのですが、「詩」の本なら全部読まなくても紹介できるかも…と思い、国語の授業で詩の本の紹介をいたしました。
 そのとき紹介したのが茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」。多部未華子さんの写真とコラボレーションした『わたしが一番きれいだったとき』に収録されています。茨木のり子さんの力づよい詩と、多部未華子さんの美しい写真が印象的です。
 私が中学生のころ、国語の先生が毎回詩のプリントを配って朗読させて、さらにはみんなの前で暗唱なんてさせていたので、けっこうその時分はいろんな詩に触れておりました。暗唱は嫌でしたが、詩は割と好きで、自分でノートを作って好きな詩を書きうつしたりなんぞしておりました。そのころ出会った詩なのですが、その当時はあまり内容にピンとこなかった覚えがあります。しかし今回、詩の本を紹介するってんで読み直してみたのですが、これがグッとくる。やっぱり人生経験を積まないと(と言って大して積んではいないのですが)、わからない感覚ってあるんだなぁと実感したのでした。
 ですので、中学生にはちょっとピンとこないかも…と思いつつも、それでも将来思い出してグッと来てくれるといいなと思い、紹介しました。そのあと先生からの課題で、自分で気に入った詩を二つ書き写すということをやったのですが、そこで「自分の感受性くらい」を書き写している生徒がいて、ちょっと嬉しくなりました。こうやって「想い」は引き継がれていくのかな、と。彼女が将来、この詩を思い出してグッと来てくれるといいなと思います。

<蝸牛>
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