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縄文時代のイケてる作品集   2014/1/24更新 【チームつながる輪〜 #19】

『縄文美術館』 『縄文美術館』
小川忠博【写真】  小野正文【監修】  堤隆【監修】
平凡社
(2013/3出版)

 学校の文化祭で、土偶をかたどった陶芸作品が展示されました。
 8体の土偶はとても丁寧に作られていて、社会科の某教員は、「欲しい!だってこんなに良くできているのを作ってくれる人、他にいないよ?」とのこと。
 作者の生徒に、譲って欲しいとかけあうお客さんや教員が現れたそうです。その後、土偶たちは県の高校美術展に出品され、そこでも大きな評価をいただき、再び学校に戻って来て、現在は職員玄関の一角に、他の陶芸作品と一緒に仲良くかたまって存在感をはなっています。
 この本は、歴史の解説本というよりは、縄文時代の作品集という目線を感じます。表紙の土偶ならぬ「岩偶」の微笑み(?)が愛らしいです。 "コウモリに見える頭"が上部についた土器ランプは、「これなら私にも作れる!」という声があがりそう。
 そんな素朴な作品がある一方で、見るからに手の込んだ、細かな装飾や突起がほどこされたデザインのものもあります。
 装飾品としか思えないような土器でも、オコゲの跡があるなど、煮炊きの道具として使われていたものもあり、私など、使ったらすぐ不注意で割ってしまうでしょう。
 古代の人たちはおしゃれな道具を使っていたのですね。ながめていると、縄文の人たちの、「○○さんの作る土偶はいい味だしてるよね」とか、「あの土器いいね♪」「いいよねー、私に作ってほしい!」などという会話が聞こえてきそうです。

<星野 好美>
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