ひとこまコラム バックナンバー

伝えたいこと 2014/5/28更新  【チームつながる輪〜 #23】

『子どもたちの遺言』 『子どもたちの遺言』
谷川俊太郎【詩】 田淵章三【写真】
佼成出版社
(2009/01 出版)

 4月、新入生に向けて図書館オリエンテーションをする。新しい生徒との出会いは毎回期待と不安が交錯する。学校によって司書によってオリエンテーションのやり方や使える時間もいろいろなのだが、現在の勤務校では4月半ばに国語の授業時間を少しいただいて、各クラスに15分ほど話をする。まずは自己紹介。司書って何?という生徒が少なからずいる。図書館の蔵書についてや借り方など、時間が短いので的を絞って話す。守ってもらいたいマナーなども話したいところだが、最初の印象を「あれもダメこれもダメ」にしてしまわないよう、本は元の場所に戻すこと、無断持ち出しをしないことくらいにとどめる。常に意識するのは、図書館にまた来たいという気持ちにさせることができているか、ということ。今まで図書館を敬遠していたような生徒にも高校では図書館を使ってほしい。
 おすすめの本をさいごに数冊紹介する。『子どもたちの遺言』から詩をひとつ読む。本を読むことが出てくる詩だ。大好きな詩です、と紹介して、みんなにもすてきな本と出会ってほしいと結ぶ。
 新生児から成人式まで、成長していく子どもたちを綴った谷川俊太郎の詩もすばらしいが、田淵章三のとらえた表情がとてもすてきだ。写真と詩のコラボレーションはきっと心にひびく。今度図書館に来たときに、オリエンテーションを思い出して手にとってもらえたら、と願いつつ読んでいる。

<池内 純子>
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