ひとこまコラム バックナンバー

絵本て、いいな☆ 2015/02/13更新  【チームつながる輪〜 #32】

『しゅくだい』 『しゅくだい』
いもとようこ【文・絵】 宗正美子【原案】
岩崎書店
(2003/09出版)

 私が司書になってもう26年が過ぎようとしている……その時の流れの早さが恐ろしくもあるが……その中で一貫してやってきたこと……それは絵本を多く図書館に入れることだ。もうずっと前からそうだが、本が読めない、読みたくないという生徒は多い。字が沢山あって疲れるから、などという生徒も多い。そんな生徒に絵本ならば、字が少なく、多くが短い話で絵も多いので読んでくれるのではないか?という思いと、単純に自分自身が絵本好き、という理由から学校図書館に多くの絵本を入れてきた。そして、その絵本を使って『読み聞かせ』、を中心とした「お話会」という分野に足を踏み入れて早10年。思ったとおり、前任校でも生徒たちは懐かしい絵本、気になる絵本を手に取り、声に出して読んだりしていた。
 私が今、勤務している神奈川県立横浜明朋高等学校は2014年4月に開校したばかりの昼間の定時制高校で神奈川県立では二つしかない高校である。本校の生徒達もやはり読書する習慣がない子がとても多い。なので、本校の「Meiho Library」にも絵本に惹かれて図書館にやってくる、または本を読もうとする気持ちになるのではないか?と「絵本大作戦」を実行した。結果、絵本を積極的に手に取る生徒もいたり、読み合いっこする生徒もいる。その読み方はとても上手で幼子に聞かせるようにとても優しく間を空けてゆっくり読んであげている。その様子を見て、また、私の「お話会(朗読会)やりたい!!」という気持ちがムクムクと出てきて……図書委員会も6月に発足したばかり、生徒も1年生しかいない、蔵書も約2000冊しかない、しかも学校図書館は建て替えの前の仮の場所で教室ひとつ分しかない狭さにもかかわらず、12月に『クリスマス朗読会』を催してしまったのである……!
 絵本『しゅくだい』はその時のプログラム1番に読んだものである。この絵本を読んでくれたのは芸達者な若い男の先生だ。「めえこせんせいがいいました。きょうのしゅくだいはだっこです!」という最初の言葉を聞いている生徒を見廻しながらゆっくり言い、「しゅくだい」と「だっこ」の不思議な組み合わせに生徒もわくわくしているのか目がキラキラと輝き楽しそうに聞いていた。この絵本は家族や大好きな人にハグしてもらうこと、ハグすることがその人達に生きるパワーを与えることだから、とても大切だということを教えてくれる。主人公のモグくんが、お父さんお母さん、おばあちゃんにギュッとされた翌日のすごく元気なことったら!また、いもとさんの絵もとてもきれいで癒され思わず微笑んでしまう心がほっこりする絵本である。
 その朗読会では他に『くまのこうちょうせんせい』『おまえうまそうだな』『葉っぱのフレディ』をそれぞれ別々の生徒が読んだ。また、途中で「物まね紙芝居」というコントも取り入れ、大爆笑を誘った。第1回目の図書委員会主催『クリスマス朗読会』は大成功を収めたと思う。これからも高校生も大人も癒され、感動的な良い絵本を増やしていきたいと、思っている。

<山本 千夏>
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