ひとこまコラム バックナンバー

知らなかった「ろう者」の世界  2015/12/24更新  【チームやまゆり #42】

『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』
丸山正樹【著】
文藝春秋(文春文庫)
(2015/08発売)

 「図書館で、手話の本などを紹介してくれると助かります」と、ある日管理職からお声がかかる。この4月に「神奈川県手話言語条例」が施行されたので、校内でも何かしたいとのこと。早速手話の本の展示準備をするが、手話の本だけでは面白くないので、手話の出てくる小説なども紹介しようとして知ったのがこの本だった。
 表紙は地味、帯も地味、タイトルの意味はわからないし、主人公も地味。しかし、読み始めるとミステリー仕立ての内容にどんどんページをめくってしまう。そして知るのは、全く知らなかったろう者の世界、ろう文化だった。知ってました?日本の手話に「日本手話」と「日本語対応手話」の2種類があるということを。「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言語を話す言語的少数者である」と主張した「ろう文化宣言」があることを。この小説を読んで、はじめて手話言語条例の意味を理解することができました。
 知識も付いて、最後には前向きになる主人公に爽やかさも感じられる小説。さてしかし、どうやってPRしようかな?
     

<からすみ>
バックナンバーに戻る