ひとこまコラム バックナンバー

出会ってもらうしあわせ  2016/01/26更新  【チームひつじさん #43】

『君の膵臓をたべたい』 『君の膵臓をたべたい』
住野よる【著】
双葉社
(2015/06発売)

 タイトルにドキッ。猟奇的?それともドタバタ?書評によれば、感動のラブストーリー!届いた本の表紙は、「満開の桜に後姿の男の子、遠くを眺める女の子の横顔」という叙情的な雰囲気。きらきらしているのにはかなくて、やるせないピュアな物語でありました。
 話題になっている本は、生徒も興味あるかな?生徒の関心とリンクしているかな?と思いながら、予算と相談しつつ購入します。この本もそうして蔵書となった一冊です。
 余命宣告を受けている女の子と、人と関わることが苦手な引きこもり気味な同級生の男の子。彼が病院の待合室で、ソファの上に置き忘れられた文庫本を手にしたことから物語は始まります。家族以外には秘密の彼女の病気を知ってしまい、彼女のペースに巻き込まれていくことに……。
 よく生徒の言う「泣ける本を読みたい」にお薦めできる一冊ですが、今を大切にすること、人を思うこと、人と真摯に向き合うことについても感じて欲しいなと思います。
 「君の内臓?膵臓?とかを食べる?って本ありますか?」聞いてくれたのは、貸出ははじめましての3年生の女の子でした。「これでしょ?」と本を渡すと、「そう、これっ。あった。」と笑顔。彼女はこの後も、本を借りに来てくれるようになりました。
 「読みたい本があった」と言ってもらえるのは、とてもうれしいことです。読みたいといわれた本は、必ずお届けする図書館になりたいと思っています。

<田中 雅代>
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