ひとこまコラム バックナンバー

「時間もの」がキテます。  2016/03/18更新  【チームやまゆり #45】

『削除ボーイズ0326』

『削除ボーイズ0326』
方波見大志【著】
ポプラ社
(2006/10発売)

 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『orange』などなど、時間軸が物語で重要な位置を占める作品が流行っていますね。朝読のある本校では、「オススメの本ない?」はお約束の問いかけです。何か、生徒が知らないような本を薦めたい。そこで、ちょっと昔の児童文学『削除ボーイズ0326』を再読しました。読み始めると、物語の疾走感とサスペンスフルな展開に、子ども向けの話だということを忘れてのめり込みました。
 物語の主人公、直都はふとしたきっかけで5分間だけ過去の時間や出来事を削除できる、不思議な装置を手に入れます。軽い気持ちで使い始めたその装置で、直都はどうしてもやり直したい過去を消し去るべく、仲間の制止を振り切って行動を起こします。それが多くの人を巻き込む、危険なことだと知りながら。果たして、過去をやり直すことは本当にできるのか……。
 「この世から5分だけ、時間を消せるとしたら……」こんな文句でPOPを作成し、生徒に薦めてみたところ、まさかの大ヒット。口コミが広がり、1年間経たないうちに7回の貸出がついて、予約まで……当館のベストセラーになりました。次から次へと新しいものが出版される小説ですが、過去の小説であっても生徒にとっては新鮮なようです。

<箱崎 稚穂>
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