ひとこまコラム バックナンバー

因みに私はコーヒーにはキャラメルシロップ派  2016/09/28更新
                                        【チームやまゆり #51】

『リバース』

『リバース』
湊かなえ【著】
講談社
(2015/05発売)

 ストーリーは多少乱暴に要約するなら"コーヒーを淹れる以外に趣味も取り柄もない"主人公があるきっかけから、それまで心の底にしまって蓋をしていた過去の過ちと向き合おうとする、というもの。もちろん一筋縄ではいかないストーリー展開なのは他の作品同様なのですが、一連の「嫌ミス」群とはちょっと毛色が違っています。
 最後の1ページ位まで「湊かなえさんの作品だから、何かどんでん返しがあるに違いない」「でも、もしかしたら今回は"しんみりした良い話"で終わるのか?」「いやいや、やはりそんなはずは……」と自問自答しながら読み進め、ラスト数行で「やられた……」という気持ちになる、裏切られ感は圧巻です。しかも、途中にあった伏線、ちゃんと拾ってたのに結末が予想できなかった。
 湊かなえファンの生徒の声に応え、ちょうど話題になっていた『望郷』や『ユートピア』などとともに購入して新着棚に並べたところ、常連の一人が「これ、面白いですか?」食いついてくれました。「最後の1ページまで"絶対に"気を抜いてはいけないよ」と忠告とともにオススメしたところ「じゃあ読んでみます」と貸し出し手続き。そして数日後には「身構えて読んだのに、やっぱりやられました〜!でも、これまで読んだ作品とちょっと違って切ないというかやるせないというか……気持ちの落ち着かせ所が無いカンジです」という感想とともに返却しに来てくれました。
 1冊でも多く「読んで良かった」「面白かった」と言ってもらえる作品を紹介できたら司書冥利に尽きると思いました。

<長谷川>
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