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更新日:2023年9月16日

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インクルーシブ教育推進実践校

 「インクルーシブ教育実践推進校」とは、誰もが大切にされ、いきいきと暮らせる「共生社会」をめざして、知的障がいのある生徒が高校で学ぶ機会をひろげながら、みんなで一緒に過ごすなかで、お互いのことをわかりあって成長していくことを目標にしている高校です。
 城郷高校は、令和2年度から「インクルーシブ教育実践推進校」に指定されています。
 詳しくは、県のホームページをご覧ください。

神奈川県教育委員会インクルーシブ教育推進課(外部サイトへリンク)

城郷高校のインクルーシブ教育

学校としての城郷高校

  • 学年制による全日制普通科
  • 3学期制
  • 高等学校学習指導要領に基づく学習
  • 卒業時に高等学校卒業資格取得城郷高校_春バナー

インクルーシブ教育実践校としての特徴

  • 部活動、委員会、行事など充実した学校生活
  • 一般募集の生徒と一緒に学習ができる
  • 高校という小さな社会にいるため、卒業後の社会への適応性が身につく
  • 進学や就職など幅広い選択肢があるクラス風景001

本校が想定する特別募集の対象となる人

本校の特別募集生は以下の要件を満たす人を想定しております。

  • 知的障がいがある人(療育手帳は必須ではありませんが在学中に取得を推奨します)
  • 学級等集団での学習及び生活が可能な人
  • 公共交通機関等を利用して自力での通学や校外学習活動への参加が可能な人
  • 本校が実施する中高連携事業(学校説明会、授業見学)に参加し、高校での学習や生活を理解し、入学意欲のある人
  • 自分の障がいを受容し、将来の自立の向けて、学校生活へ適切かつ積極的に取り組める人

本校の特別募集に向いている人

  • 基本的生活習慣が確立しており、毎日登校している
    (欠席・欠課が多いと進級できません。また、長欠や起立性障がいがある場合、登校する習慣が確立していないと厳しい)
  • 本人・保護者が障がいを正しく受容している
    (知的障がいを隠そうとせず、一般募集生徒とは別の科目「職業」「集中講座」を受ける)
  • 学習支援・進路支援に対する素直さを持つ
    (「参加」からスタートし、「理解」できるよう取り組み、わからないことに対して先生や友人からの助けを素直に受け入れられる)
  • 学校で必要なコミュニケーション能力を持つ
    (みんなと一緒に話し合ったり発言ができ、人の意見を静かに聞き、自分の意見を発表できる)

やる気

城郷高校の取組み

本校の体制

  • 1クラス36~38名(令和5年度は6クラス募集、特別募集21名)
  • 1クラスに特別募集生が2~3名
  • 「担任」「支援担任」「副担任」の複数担任制。各学年に「学年リーダー」「支援リーダー」
  • 各学年に「リソースルーム」を設置
  • 「ティーム・ティーチング」「習熟度別学習」で学習サポート
  • 教材、プリントやテストを工夫し、必要に応じて「リソースルーム」を活用
  • 個別教育計画を活用(中学校・支援学校から引き継がれた各自に応じた教育計画で一般募集の生徒とは異なる評価基準となります)

生徒と職員2

特別募集生の必修科目

 本校の特別募集生は、一般募集生とは異なる、以下の科目が必修となります。必修科目ですので進級・卒業に関わる単位となります。

  • 社会生活A
  • 社会生活B
  • 社会生活C
  • 夏季集中講座(インターンシップ)1年
  • 夏季集中講座(インターンシップ)2年
  • 夏季集中講座(インターンシップ)3年

クラスの体制

  • 基本は全日制普通科のクラス
  • 1クラス内に一般募集生34~36名、特別募集生2~3名
  • 担任・支援担任・副担任による複数担任制
  • クラス全体の生徒は「学級担任」が包括し、特別募集生を中心に「支援担任」が担当、「副担任」は両者のサポート
  • 学年の「支援担任」の仕事を「支援リーダー」が補佐し、「学級担任」を含めた学年全体を「学年リーダー」が補佐し、幅広く生徒をサポートする体制

黒板をシンプルに「フロント・ゼロ」

 以前の本校は黒板の端に、色々な連絡事項があれもこれもと書いたり貼ったりしてありました。「インクルーシブ教育実践推進校」に指定されてからは、授業に集中しやすいように、黒板の端に連絡事項等を書いたり貼ったりせず、その時間の授業専用で使用しています。

連絡事項は、廊下のホワイトボードに集約

 その日の予定・連絡や課題などの提出物を、廊下に設置した各学年毎のホワイトボードに集約しています。

ホワイトボード

リソースルームの設置

  • 各学年に1部屋ずつ設定リソースルーム
  • 特別募集生の必修科目「社会生活」の学習スペース
  • 特別募集生の休憩・自習用のスペース
  • 特別募集生を中心とした個別・少人数学習用スペース
  • すべての生徒の面談等スペース

ティーム・ティーチングの実施

 「インクルーシブ教育実践推進校」として動き出し、ティーム・ティーチングの授業を増やしました。インクルーシブ特別募集の生徒を対象とした支援で導入されましたが、特別募集生のみに限らず、誰もが何でも質問できる体制としています。担当の教員も全員に目を配っています。1人の教員のみで授業している場合は声をかけにくいでしょうが、2人の教員で授業を進めていれば声をかけて質問しやすい雰囲気となります。

 2023年度の実施科目は以下となります。

  • 1年次
    現代の国語、数学I、物理基礎、化学基礎、英語コミュニケーションI、論理表現I、情報I、社会生活A、総合的な探究の時間
  • 2年次
    古典探究、数学II、英語コミュニケーションII、社会生活B、総合的な探究の時間
  • 3年次
    コミュニケーション英語III、情報の表現と管理、社会生活C、総合的な探究の時間

 下写真は1年における物理基礎の授業の様子です。常にこの状態ではありませんが、赤で示したT1,T2の2人の教員が水色の楕円で示した小グループを指導している場面です。

ティームティーチングイメージ1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

習熟度別学習の導入

 生徒一人ひとりの個性と能力を伸ばすため、習熟度学習を導入しています。数学や英語で、それぞれの習熟度に応じたきめ細やかな指導を行っています。習熟度クラスは「発展クラス」「標準クラス」「基礎クラス」で構成され、各クラスは学期毎に成績で分けられます。また、「基礎クラス」のみティームティーチングを実施しています。

 2023年度は以下の科目で習熟度別クラスを実施しております。

  • 論理表現
  • 英語コミュニケーションI
  • 英語コミュニケーションII
  • 数学I
  • 数学II

個別教育計画の作成

 一般募集生は、文科省より出された「高等学校学習指導要領」に基づき本校で設定された「学習指導計画」に沿って学習を進め、評価を行います。

 特別募集生は、就学時より現在・将来の社会等との関わりを見据えて作成される「個別教育計画」に沿った学習を進め、評価を行います。
 高校において「個別教育計画」を作成するにあたり、中学校で作成された「個別の指導計画」と「個別の支援計画(支援シート)」を、入学前に本人・保護者より、提出していただきます。

 


 

 以上、城郷高校の取組みを紹介しました。
 これらは「インクルーシブ教育実践推進校」に指定されたことで始めた内容です。この結果、「みんなが過ごしやすい」環境につなげられるように、と考えています。今後は生徒の反応や意見も参考にして、より良い取り組みを模索し続けていきたいと考えています。

インクルーシブ教育実践校についてよくあるご質問

インクルーシブ教育実践推進校について

Q01 インクルーシブ教育実践推進校は、特別支援学校・クリエイティブスクール・通級の高校と、どのような違いがありますか?
A01

神奈川県のページ「新しい学びのかたちから高校をさがす」より抜粋
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/tokushoku/hsw/keyword.html#creative

学校 特徴
インクルーシブ教育実践推進校 知的障がいのある生徒が高校教育を受ける機会を広げながら、全ての生徒が共に学び相互に理解を深める教育に取り組む学校です。
クリエイティブスクール 一人ひとりが持っている力を必ずしも十分に発揮できなかった生徒に対して、これまで以上に学習意欲を高める取組を行う学校です。
通級による指導導入校 発達障がい等のある生徒が、大半の時間は通常の学級で学びながら、必要に応じて別の教室で障がいに応じた特別の指導(自立活動)を受ける「通級による指導」に取り組む学校です。
特別支援学校分教室 特別支援学校で県立高等学校内に教室が設置されています。特別支援学校への就学基準に達したさまざまな障がいのある生徒のうち、自力通学が可能で、集団活動中心の学習が可能な生徒を対象として、個別教育計画を作成し個別のニーズに応じた教育を行います。

 詳細は、神奈川県のインクルーシブ教育推進課のページ、神奈川県教育委員会のページをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

入学について

Q02 学校生活を送るうえで必要な条件はありますか?
A02 本校は開校より全日制普通科ですので、教室・施設・教育活動は身体健常者を前提にデザインされています。一般募集生と共に身体的な支援なしで生活できることが前提です。
 

 

Q03 通学で必要な条件はありますか?
A03 通学は基本的に特別募集生一人で公共機関等を利用して行ってください。万が一の緊急事態発生時に一人(支援なし)で自宅または避難場所へ移動できることが前提です。必要に応じて、入学決定後にラッシュも含めた通学の練習を各ご家庭でお願いします。
また、公共交通機関の乱れや休止に柔軟に対応できるよう各ご家庭で現地踏査を通した確認をしてください。
   
Q04 発達障がいに関する手帳を持っていませんが入学条件にありますか?
A04 本校は障がいに関する公的な手帳がなくても入学できますが、学力面を重視しない特別選考で入学し、一般入試で入学した生徒とは異なる個別教育計画に沿って評価(成績)が出されるため、進学や就職時に発行する調査書には「本生徒の教科・科目の学習評価については、個別教育計画を参考に個人内評価の考え方を踏まえ、目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価に基づき行った」の一文が記入されます。
そのため、高卒で就職する場合、障がいに関する手帳がないと苦労することが多く、卒業後に障がいに関する公的な支援を受けることもできません。本校では以上の理由から、障がいに関する手帳の取得を強く推奨しております。
   

学校生活について

Q05 特別募集生に関する支援はありますか?
A05 特別募集で入学した各生徒の個別教育計画を作り、これに基づいて授業・学校生活全般の支援を行います。本校では、担任と支援担任、各学年の支援リーダー、学年の教員、教科担当教員、支援研究グループの担当教員を中心に情報を共有し、丁寧に対応するための支援体制を構成しています。生徒個人個人により必要とする支援が異なるため、年に数回ある三者面談などで生徒・保護者と教員が相談することでより良い高校生活が送れるように支援を続けています。
   
Q06 特別募集生が必要に応じて使用できる空間はありますか?
A06 各学年毎に1室、リソースルームを設定しています。リソースルームは特別募集で入学した生徒が中心に使うようにしています。「社会生活A,B,C」の授業はここで行い、特別募集生がほっとしたいとき・離れて一人でいたいとき・気持ちを落ち着かせたいとき・先生に相談したいとき・勉強を教えてもらうときなど使えるようにしています。
   
Q07 学校やクラスになじめますか?
A07 生徒全員が充実した高校生活を送れるよう、本校ではすべての生徒に対して相互理解教育を行います。インクルーシブ教育実践推進校として、日常の学校生活において生徒同士の相互理解をより深め、インクルーシブな環境を深化させ、共生社会をより広く考え深化するための教育活動を行います。そこでは、次の3つの事項を意識した取り組みを行っています。
  1. 個性を尊重し、一人ひとりの違いを認識できるような内容
  2. 集団の中で、互いを理解しながら、社会性や思いやりの心を育むことができるような内容
  3. 他者との協働により物事を解決する力を育むことができるような内容
特別募集で本校へ入学した多くの生徒はクラスで一般募集生と一緒に過ごしています。また、部活動に入部した特別募集生は多く、他に委員会活動や学校行事でも活躍しています。
   

学習について

Q08 入学に際してどのくらいの学力が必要ですか?
A08 特に基準は設定しておりません。一人ひとりの生徒の状態は多様なので、以下の事項を重視します。高等学校の教育を受けたいという強い意志と、全日制普通科高校の学級の一員として学ぶ意欲を持ち、卒業後の進路目標に向けて積極的に取り組む生徒を期待しています。
   
Q09 学習面での支援はどのように行っていますか?
A09 ティーム・ティーチングや少人数指導など、授業内で個別の支援を行っています。令和5年度は、国語、数学、理科、外国語、情報、社会生活でティーム・ティーチング授業を行っています。また、課外での補習等を行うこともあります。ただし、本来の授業と別内容の授業を別室などで個別に行うことはしていません。個別教育計画を作成する中で生徒・保護者とも相談し、個人個人にあった学習目標を設定し、その達成に向けた指導・支援を行っています。
   
Q10 授業についていくのが難しいとき、別室で個別に教えてくれたり、先生とマンツーマンで教えてもらえますか? 授業の内容や課題は、一般募集の生徒と異なりますか?
A10 本校では、すべての生徒が共に学び理解しあうインクルーシブ教育をおこなっていますので、同一の教室で、同一の内容を学んでいます。特に別内容または別室での授業は行っていません。ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、すべての生徒が共に理解し、理解する過程の中で楽しく学習できるよう授業を構成するように努めています。また、学習到達度別の課題の選択・授業目標の選択などを授業内に行うことで、個別の学習目標に沿った指導を行っています。
   
Q11 特別募集生が必修となる「社会生活」とはどんな授業ですか?
A11 「社会生活」は特別募集生が受ける必修科目です。この科目は各学年で週に2時間あり、この時間だけ一般募集の生徒と別の授業になります。一般常識や挨拶・礼法など社会性に関することから自己理解まで幅広く学びます。また、清掃技能検定などの資格取得を目指す中で自分の特性や性格と向き合い、将来の進路等につなげます
   
Q12 習熟度別少人数指導はどのように行われていますか?
A12 本校では以前より一部科目で習熟度別の授業(2クラスの生徒を3クラス、または、1クラスの生徒を2クラスに分割する授業)を行なっておりました。現在、科目を拡大して、英語と数学の数科目で実施しております。クラスによってはティーム・ティーチングを入れ、指導をより厚くできるようにしております。
なお、特別募集生でも得意な科目では習熟度の上位クラスに所属するケースもあります。今後、生徒の学習状況等を確認してより効果的な学習環境を模索します。
   

定期試験等について

Q13 テストにおける配慮はありますか?
A13 テストの内容は、すべて統一です。個別の問題・問題数の変更など、内容に関する個別の対応は原則として行っていません。インクルーシブ教育実践推進校としてユニバーサルデザインの視点を考慮し、テストの内容も全生徒に配慮して作成しています。内容以外の個別対応で配慮したのは次の2点です。
  1. ルビ振り
  2. 別室受験

進路について

Q14 卒業生の進路先にはどのような例がありますか?
A14

実践推進校パイロット校(3校)の卒業生の進路は、進学、職業訓練機関、就職、福祉サービスとさまざまです。本校では、生徒の希望に沿えるよう、3年間をとおして「社会生活」「集中講座」の授業を中心に、進路指導・支援を進めています。

34期生:一般雇用1名、特例子会社2名、就労4名、就労移行支援4名、大学・短大2名、専門学校2名、未定1名

   
Q15 「集中講座」では、どのような学習をするのですか?
A15 「集中講座」は夏休みを中心に行う通常授業時間外の必修授業となります。卒業後、自分の生活維持のために働くことを前提に、近隣の企業等で職業体験を行なっております。事前・事後指導を含めたいわゆるインターンシップで、特別募集生が自分の将来をイメージして就職・進学ができるようにするための授業となります。本校が認めた、大学や専門学校がバックアップする職業体験等も含まれます。また、高卒で就職する場合は就職先を決定する大きな一助となります。