更新日:2020年9月24日
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食品科学科ではパンや焼き菓子、みそ、缶詰やビン詰などの加工を行う食品製造分野から、食品の栄養やタンパク質や脂質などの成分分析などを行う食品化学分野、食品の製造に利用されるカビや酵母など微生物の培養・観察を行う微生物分野、食品の流通過程について学習する食品流通分野など、食に関連した各分野を授業や実験実習を通して幅広く学ぶことができます。新校舎になり施設や設備も充実し、学ぶための環境も整っています。
食品やその加工、食に関連した職業に興味がある人はぜひ相原高校食品科学科を見学に来てください。
食品の原料生産から加工・販売を科学的に理解するための基礎的な知識と技術を習得し食品や食品化学に対する高い知識を育み、地域社会や食品関連産業に貢献できる創造力豊かな人材を育成する。
科の特色
・食品産業を支える食品製造、食品化学、微生物利用や食品流通などの知識や技術を生徒一人ひとりが実験・実習を通して体験的に学習することができるカリキュラムとなっております。
・実習圃場にて、トウモロコシやエダマメ、ダイコンやハクサイなどの野菜を栽培し、作物を育てる大変さや収穫の喜びを学びます。また、収穫した野菜は持ち帰り試食したり、漬物などに加工します。
・食品関連の資格などを受験することができます。自分の将来に必要な資格を取得できるように多くの生徒が努力をしています。
・授業や食品科学科分会の活動で製造したパンや、マドレーヌなどの焼き菓子、みそなどの生産物販売を行うこともあります。また、総合ビジネス科と連携をし販売物の製造を行っています。
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食品製造 |
パン・菓子・缶ビン詰・みそ、アイスクリームの製造などを通し、 |
食品化学 | 食品中の栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・無機質)などについて化学の基礎から高度な機器分析までを実験と座学で学びます。 |
微生物利用 | パンやみそなどの加工に関わっている微生物について実験と座学で学びます。 カビや酵母、細菌の培養を通して基礎的な微生物の取り扱いを学習します。 |
食品流通 | 食品の製造から消費までの流通過程について学びます。 |
課題研究 | 食品に関するテーマを一人ひとつ設定し、1年間かけて研究を行います。自ら課題を設定し、調査・研究を重ね課題の解決を目指します。 |
農業と環境 | トウモロコシやエダマメ、ダイコン、ハクサイなどの栽培実習や加工実習を行います。 |
農業情報処理 | 文書作成や表計算、プレゼンテーションソフトの基礎、情報モラルなどを実習を通して学びます。 |
注意:
以下の検定は、授業中に勉強して取得できるものではありません。
自ら自宅等で勉強し、わからない所は先生に聞くなどして受験し、その結果、合格または不合格になるかもしれないものです。
食生活アドバイザー (2・3級) |
食生活の知識を健康管理などに活用できることを示す民間資格です。10名以上受検者がいると本校で受験できます。 |
食品衛生責任者資格 | 飲食店など調理営業や食肉などの販売業に必要な資格です。この資格は講習会受講で取得できます。 |
危険物取扱者 (乙4種・丙種) |
ガソリンなどの危険物を取り扱うのに必要な国家資格です。乙種・丙種に関しては年齢などの制限がなく誰でも受験可能です。合格すると危険物を取り扱う会社等で給料の優遇があります。 |
2級ボイラー技士 | 労働安全衛生法に基づく国家資格です。食品工場などボイラーに関わる仕事には必要な資格です。 |
小規模ボイラー取扱資格 | 小型の簡易ボイラーを取り扱える資格です。講習会の受講で取得できます。 |
●食品科学科1年生 農業と環境
4月、エダマメとトウモロコシの播種を行いました。土を入れたトレイに一粒ずつ丁寧に種を蒔き、土をかけていきます。播種後、1週間ほどで発芽します。
5月に畑に定植を行います。一人3m程のスペースを割り当てられ、マルチカッターで定植用の穴を開けます。そこへ6cmほどに成長した苗を植えていきます。育った苗を傷つけないように丁寧に作業をしていきます。除草や追肥などの管理を行い、生育を観察します。7月には収穫を行います。
●食品科学科1・2年生 食品製造・総合実習
食品製造や総合実習などの授業でパンや焼き菓子などの製造を行う製菓製パン実習室では、大量に製造する際に必要となる大型ミキサーや発酵に必要なホイロ、業務用オーブンなど新しい機器が導入されています。
これらの機器も活用しながら、製造実習を行なっています。授業で行う製造実習は、20名で行い、4時間の授業時間内に座学や材料の計量、製造、片付けまでを行ないます。基本的に製造したものは持ち帰り試食しますが、実習によっては販売するための商品を製造することもあります。写真は、メロンパン実習とマドレーヌ実習です。
●食品科学科2年生 製麹宿泊実習・みそ仕込み実習
食品科学科の2年生が4〜7名づつ学校に宿泊し、2週間の間に280kgの麦を使用し麦麹を作ります。
作業工程としては、蒸した麦に種麹菌を混ぜ込み、麹蓋(こうじぶた)と呼ばれる木製の箱に分け温度と湿度を管理できる麹室(こうじむろ)の中に運びます。その後は1時間ごとの検温や手入れなどを行います。26時間後、塩を混ぜ込み麹菌の働きを止める塩切りという作業を行い麦麹の完成です。
宿泊実習で製造した麦麹を使用して、相陵みその仕込み実習を行います。
仕込み実習前日に大豆180kgを水洗いし一晩浸漬させます。仕込み当日の早朝、水切りをした大豆を高圧蒸気で蒸しあげます。その後、大きな木製の混合槽の中で蒸した大豆、塩、麦麹を混ぜ合わせます。量が多いので大変ですが生徒は交代しながら丁寧に作業を進めます。その後、みそこし機で細かく挽き樽に詰めていきます。
半年間熟成させ天地返しやパック詰の実習を経て、風味豊かな麦みそ、「相陵みそ」の完成となります。
●食品科学科2・3年 微生物利用
2〜3年生で学習する微生物利用の授業は食品の製造に関わる微生物を始め、食中毒の原因菌などについて座学や実験を通して学習を進めていきます。
これらの写真は、微生物を育てるための培地を作成している様子です。微生物の栄養源となる試薬を溶かし、試験管へ分注していきます。その後、121℃で15分間殺菌をして使用します。
作成した培地に培養したい微生物を接種していきます。30℃で2日間培養して観察を行います。写真は、乳酸菌や納豆菌などの細菌をグラム染色法で染色し、顕微鏡で観察しているところです。乳酸菌などの細菌は非常に小さいため1000倍の倍率で顕微鏡観察を行います。
●食品科学科1・2年 食品化学(実験)
1年生の食品化学実験で行った中和滴定の様子です。
中和滴定とは、酸と塩基の中和反応を利用して目的とする物質の量を知る方法で、食品中の有機酸の定量分析でよく用います。
2年生の食品化学実験では、市販されているお菓子の成分分析を1年間かけて行っています。
まずは重量分析と呼ばれる水分、脂質、灰分の定量を行い、その後、タンパク質の定量実験やデンプンなどの炭水化物の定量実験を行なっています。
写真は、灰分の定量実験です。灰分とは、試料を550℃で加熱し残った灰の重量より求められ、無機質のおおよその総量と考えられています。実験には直接灰化法を用い、るつぼという磁性の器具に試料を正確にはかり込み、550℃の電気炉で1〜2時間加熱し、放冷後電子天秤で質量を測定します。測定に使用する電子天秤は、大変精密な天秤で0.1mgまではかることができます。
食品科学科の3年生は毎週金曜日の4~6時間目を利用し「課題研究」という授業を行っています。 1・2年生で学んできた知識と技術、そして食品科学科の施設を最大限に利用し授業が進められます。食品科学科では、食品製造部門、食品化学部門、微生物利用部門、栽培流通部門に分かれて、生徒それぞれが計画・実践・評価を計画的に行い、課題の解決を目指し研究に取り組んでいます。生徒一人ひとりが設定したテーマの解決に向け、主体的に取り組む姿が見られ、食科棟は活気にあふれています。11月に行われる相陵祭で各自の研究成果をまとめたポスター発表、1月には課題研究発表会を行います。
農業クラブの相原高校 食品科学分会の紹介をします。食品科学分会では4つの班があり、自由に選ぶことができます。
食品製造班…焼き菓子やパンなどの加工や製造を行います。校内販売やイベントなど
にも参加します。畜産科学科のポークカレーに合うナンを製造し、イベントなどで総合ビジネス科が販売するなど各科とのコラボレーションに力を入れています。
食品化学班…地域交流や食文化の伝承の一環で「酒まんじゅう教室」なども行います。
焼き菓子など製造し地域のイベントなどで販売もします。
微生物班… 微生物の管理やヨーグルト、麹などから菌を培養したり、そこから発酵食品の製造ができるよう取り組んでいます。
栽培流通班…畑でいろいろな野菜を栽培しています。販売や加工も行います。