希望ケ丘高等学校 全日制 > 特色 > 令和7年度SSHとしての取り組み > Scuolaセミナー Scuolaキャンプ
更新日:2025年10月8日
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第1回「製薬会社研究員の仕事_中外製薬株式会社」
第2回「博物館で学ぼう_生命の星・地球博物館」
第3回「東京大学_大気海洋研究所訪問」
第5回「千葉大学_ハドロン宇宙国際研究センター訪問」
第6回「サイエンス・ダイアログ」
第8回「東京大学農学部」
第9回「理化学研究所」
第10回「アマゾン・ウェブサービス」
第11回「天体観測」
第12回「香りの科学」
第13回「小惑星のデータ分析」
Scuolaキャンプ「宇宙の神秘を探る-最先端研究施設訪問-」
過去の取り組み
Scuolaセミナーは、放課後や土曜日、日曜日等に大学や企業から講師を招き、講義・ワークショップ・実験等を通した体験的な学びの場として実施しています。
第7回「研究所訪問_国立極地研究所」
令和7(2025)年8月29日(金曜日) 地球の極地における研究を学ぶため、国立極地研究所に赴きました。このセミナーで極地のイメージは覆されるのでしょうか。
【講義】講師は宙空圏研究グループの江尻省教授です。地球上空はどこが空と宇宙の境界でしょうか、という問いかけから始まりました。今まで漠然とした知識しかなかったものが講義により明確になります。南極観測は、夏隊と冬隊の絶妙な仕事の割り振りで順調に行われていることは驚きでした。また、江尻教授は次回の冬隊に参加されます。日本初の冬隊女性隊長として南極に赴かれるとのことです。

【低温実験室見学】-20℃、-30℃、-50℃などの極低温で、極地からのサンプル等を保存および実験する実験棟を見学しました。南極の積もった氷を奥深く掘り出したアイスコアの展示がありました。深いところほど古い時代にできた氷で、その当時の空気を含んだものになっています。見た目や感触が深さ(年代)によりずいぶんと違いがあります。アイスコアからどのように気体成分を取り出して、年代を推定するのか丁寧に説明をしていただきました。-50℃の気温では油もカチコチに凍ってしまうため、機械用の油などは特殊なものを使います。各温度の部屋で凍らせた、油やしょうゆのサンプルを見て、身の回りの環境との違いを実感しました。たった20分という短い時間にもかかわらず、呼吸した息で鼻毛が凍るという、経験したことのない寒さを十分に味わいました。低温実験室から出た時の暖かさに思わずほっとしてしまいます。(入室前はあんなに暑さに辟易していたのに。)


【南極-北極科学館】最後は、「南極・北極科学館」を自由に見学しました。生徒たちは限られた時間のなかで、展示されているものや解説を熱心に見学していました。科学館はいつでも無料で見られるので、興味をもって何度も通ってほしいとのことです。


南極で活躍した犬たちの石像の前で記念写真を撮影し、帰路につきました。
第4回「つくばサイエンスツアー」
令和7(2025)年8月1日(金曜日)筑波研究学園都市の研究施設を3か所見学しました。
筑波研究学園都市とは、高水準の研究と教育を行うための拠点として東京等の過密地域から研究施設を計画的に移転して作られた場所です。今回はその中の『筑波大学ギャラリー』『JAXA筑波宇宙センター』『NIMS物質・材料研究機構』の3か所を巡りました。
【筑波大学ギャラリー】
筑波大学に関係するノーベル賞受賞者の展示や、オリンピックで活躍した選手をはじめとする体育・スポーツの展示があります。物理学の朝永振一郎博士をはじめ,白川英樹博士及び江崎玲於奈博士の研究ノートや当時の実験器具などが必見に値します。

【JAXA筑波宇宙センター】
入口のロケット広場ではH2ロケットの実機が横たわり、一昔前の実機ですがその大きさに圧倒されます。通常の見学ツアーに加え、今年度から再開された展示室『スペースドーム』の見学もできるため期待が高まります。

見学ツアーは宇宙飛行士となるための訓練施設とISSの業務と管理の現場の見学です。宇宙空間の滞在に必要な訓練装置やISSでの実験内容についての展示は非常に興味深いものでした。また、ISSの監視・管理を行うオペレーションセンターを業務中にもかかわらず見せていただき、実務の緊張感も味わうことができました。この訪問の日の未明に大西宇宙飛行士がISSでの滞在を終え、油井宇宙飛行士が交代するはずでしたが天候のため延期になったのも話題に上りました。



昼食は職員も使用する食堂にていただきました。JAXAらしい特別メニューもあります(事前予約が必要)。その後、各自『スペースドーム』で自由に見学をしました。歴代の静止衛星やロケット模型、ISSの日本実験棟『きぼう』のレプリカ、宇宙食の展示など、様々で一度では見切れないボリュームです。


【物質・材料研究機構NIMS】
NIMS(ニムス)は、国内で唯一、物質・材料科学の研究に特化した国立研究開発法人です。講義は物質と材料の違いから始まり、研究所の行う検査や社会への貢献などについて説明を受けました。

講義の後に研究室の見学となります。金属の疲労耐久性を検査する施設は、普段目にすることのない場所です。そのデータ蓄積の量にも圧倒されました。大きく重い材料の次に小さいものを見る電子顕微鏡を用いる研究室に伺いました。電子顕微鏡の説明と、デリケートな環境下でのきめ細やかな研究が行われている現場を見せていただきました。



今年度のツアーは上記の施設でしたが、ツアーとしては様々な組み合わせが可能で、より学習効果のある、また興味を持てる内容に改良しつつ、毎年の催行を図っていきたいと思っています。乞うご期待。
Scuolaキャンプは、科学研究のあり方を学ぶとともに、本校生徒の自然科学に対する興味・関心を深めることを目的に、夏休み中の2泊3日の宿泊研修として実施しています。
Scuolaキャンプ「宇宙の神秘を探る-最先端研究施設訪問-」
令和7(2025)年8月20日(水曜日)~8月22日(金曜日)の日程で、飛騨高山にある京都大学飛騨天文台、スーパーカミオカンデ(東京大学 宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設)、カムランド(東北大学 ニュートリノ科学研究センター)、KAGRA(東京大学 宇宙線研究所 重力波観測研究施設)を訪問・見学してきました。
【第1日】
朝7時集合の後、貸し切りバスに乗ること7時間。今年は高速道路の渋滞がひどく、7時間かかりました。宿舎到着後すぐに小型(低公害)バスに乗り換えて、山道を進んだ高台にある京都大学飛騨天文台を訪問・見学しました。 天文台のある付近(山全体)は施設の敷地であり厳重に管理されています。許可なしに踏み入ることは不可能です。


【第2日】
東京大学宇宙線研究所神岡総合研究棟の梶田ホール(ノーベル物理学賞受賞の梶田先生のお名前です)で、東京大学の研究者の方と東北大学の研究者の方からの講義を受けました。
午後より、実験施設スーパーカミオカンデとカムランドを見学しました。 神岡鉱山の坑道からこれらの施設に入ります。ひんやりとした坑道の中を進み、スーパーカミオカンデのドームの頂上付近にたどり着きました。壁やドアには各界著名人の訪問記念サインが書かれており、いかに貴重な施設であるかを物語っています。
ここではニュートリノ実験が行われています。他の粒子と相互作用をしにくいニュートリノの軌跡をとらえるための巨大施設です。ニュートリノの性質を調べることは素粒子の標準模型確立とともに、宇宙の理解を広げることに役立ちます。




旧カミオカンデをニュートリノの他の観測用途に利用したカムランドでは、ドームの中に1000トンの液体シンチレータをためるバルーンがあります。その中を上からのぞかせていただきました。壁際に光センサー、下に作業用の浮きが見えています。


【第3日】
東京大学宇宙線研究所神岡総合研究棟のSKホールで東京大学の研究者の方からKAGRAの講義を受けました。 質量がある物体が動くことで発生する「空間のゆがみ」。そのゆがみは波となって宇宙空間に伝わります。そんな微細な「重力波」を検出する施設がKAGRAです。長い直線距離が必要なレーザー干渉計は正確に水平垂直位置を保つ必要があるため、精密な調整が必要です。限られた時間にしか見学が出来ないために、今回は講義のみの開催となりました。レーザー干渉計の規模や宝石のサファイヤでできた大きな鏡など大掛かりな設備に感動しました。


【その他】
宿舎では振り返り学習を行い、ポスター作成にいそしみました。
帰りは道の駅「宙ドーム神岡」で量子力学の楽しい展示や、ニュートリノに関するお土産などを購入し、帰路につきました。

最先端の研究施設を見学し、この神岡鉱山跡を研究に転用しようとした先人の研究者たちのあくなき探究心に圧倒されました。この研究のスケールは現地でしか得られません。非常に濃密な三日間でした。この経験は生徒の今後の学びにつながる、貴重な財産となるでしょう。
本校生徒のために、貴重な体験の機会をくださった研究施設の皆さまへ深くお礼を申し上げます。