物理学習会「高校生のための相対論」
相対性理論や量子論は、高校の物理で取り扱う機会が少ない現状を踏まえて、高校の物理と大学の相対性理論の講義をより継続した学習体系とするひとつの試みとして、平成21年から本学習会を実施しています。
本学習会は、自然法則を探究する力を伸ばし、発展的な概念や原理・法則の理解を深め、柔軟な科学的考察力を育てることにつながる発展的な学習会と位置付けています。
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〔生徒へのメッセージ〕
「時間や空間はどこでも一定ではなく、のびたり縮んだりする・・・」という相対性理論の基礎を簡単な数学を使って学習します。興味がある人なら学年は問いません。物理学の広い世界への扉を開いてみましょう。
日程
毎年、冬季休業中に実施しています。
- 午前の講習〔9時30分〜12時00分〕
- 午後の講習〔13時00分〜16時00分〕
場所
対象生徒・予定人数
- 物理や相対性理論に興味がある生徒(年次は問わない)
- 定員30名程度
- 他校生の参加も可(学校へお問い合わせください)
学習会の内容
- テーマ「高校生のための相対論」
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- 様々な宇宙論,次元の話
- アインシュタインの人物像(ビデオ視聴)
- 粒子の速度、波の速度、ガリレイの相対性原理(速度の合成、相対速度)
- 光の粒子性と波動性,光速の測定,マイケルソン・モーリーの実験(ビデオ視聴),光速度不変の原理
- 特殊相対性理論(ニュートン力学の公理,相対性理論の公理)
- 動く時計の遅れ
- ローレンツ変換(光速度不変の原理、相対性原理からローレンツ因子を導く)
- ローレンツ短縮
- 速度の合成
- 質量の増加
- E=mc2
講習会の様子
生徒の感想や質問等のまとめ
[講義に関する感想・疑問]
- ローレンツ因子を用いた変換によって空間や時間を相互に変換できることがすごいと思った。相対性理論は古典物理からさらに発展したもので、光速度不変の原理にもとづいている考え方であることがわかった。まだ、理解できていないところが沢山あるので、もっと相対論や物理を深く学んでいきたい。
- 初めて本格的に相対論を知り、その深さに感激しました。ローレンツ因子が至る所に現れてきたことが、なかなか不思議で、モーメントを習った時に似た感覚を覚えました。数学が好きということもあり、概念に留まらず核心に迫ることが一番良かったです!
- 「時計の遅れ」が実際に起こっていることや「時空のゆがみ」に興味を持ち、その意味がわかったような気がします。
- 身近に感じていたことを数式で表すことができることにすごく驚いた。目に見えないことを計算できることにもびっくりした。宇宙の形や4次元空間には特に興味がわいた。理解できない点も多かったけれど、今日、学習したことを自分で復習して来年も参加したい。
- 映像でローレンツ短縮や時計の遅れを見たことで、板書だけでは理解できない範囲まで細かくわかった。また、ブラックホール等、宇宙の神秘にもつながるようなので、今までよりも相対性理論そのものに対して興味を持つことができた。
- 物体は光速を超えられないことは知っていたが、その理由はわからなかったので、「エネルギーを加えても質量が増えてしまい光速に達することはない」という原理が理解できてよかった。また、簡単にE=mc2が導き出せて驚いた。
- 時空ダイヤグラムに非常に興味を持ちました。関数のグラフのようで単純かつわかりやすい説明ができると感じられました。自分は何でも数式で表されていた方が好みなので、後半のローレンツ因子、収縮の流れも特に面白かったです。両者とも、とっつきずらい特殊相対性理論の理解のためには素晴らしいものだと思います。
[学習会に関する感想]
- 5時間30分の学習が一瞬のように感じた。とても楽しい充実した1日でした。
- 「次元」や「目に見えなくても存在するもの」など、様々な考え方があって、単純なようで複雑なようで、相対性理論と一言に言ってもすごい世界がひろがっているんだな、と思いました。宇宙って、どういうものなんだろうと考える機会を与えてもらえた1日でした。
- 今回の学習会で相対性理論の導入を行うことができました。大学で専門的に行う前に、このような学習会をやって頂いて、とてもうれしかったです。大学で相対性理論を学ぶ時に何も知らないで入るよりも少し知った状態で取り組む方が、より深い理解ができそうです。
- 授業では扱っていない範囲を学べることは、今までの物理に対する見識を広げることにつながると思う。参加して正解だったと思っている。
- 難しい内容ながら説明がわかりやすく、私でも理解することができました。とてもいいイベントだと思います。友達に自慢できるので、クリスマスでも来てよかったです。最高のクリスマスプレゼントでした。
- 説明がとてもわかりやすかったので、何となくイメージをもつことができました。6時間もありましたが、退屈することがありませんでした。