ひとこまコラム リターンズ
毎月1回、会員が書くコラムが復活しました!
本の紹介や本と人、人と人とをつなげるエピソードなど、学校図書館の日常の一コマを切り取ったコラムです。
学校図書館の様子を覗いてみてください。
☆コラムで紹介している書籍の表紙画像は、 出版社の許可を得て掲載しています。
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ひとこまコラムリターンズ 第93走者
表紙を見つめる生徒の謎 2026/07/01更新
『忌野くんと仲井戸くん』 忌野清志郎,仲井戸麗市【著】 QANDO (2025.10) |
新着コーナーに面出ししていた『忌野くんと仲井戸くん』をある生徒がじっと見つめていました。しばらくして振り返り、「この人、野球選手なんですか」と真剣な表情。確かに、ユニフォーム姿の清志郎だけを見ると、そう見えても不思議ではありません。「実はね、この二人、伝説的なミュージシャンなんだよ」と説明すると、「え、ライブで守備固めするんですか」と再確認。ひとまず聞こえなかったことにして「これは二人の文通をまとめたもので、手紙で本音をやり取りしていたんだよ」と説明すると「手紙って逆に新しいですね」と、さっきまでの野球モードから一気に文学モードへ切り替わりました。スマホでの短いやり取りが当たり前の世代にとって、手紙という"時間のかかるコミュニケーション"はむしろ新鮮に映るようです。ページをめくりながら「この人たち、仲良さそう」「文章がやさしい」と笑う姿を見て、音楽を知らなくても届く温度がある本だと改めて感じました。
紹介した本が、生徒にとって思わぬ入口になる瞬間があります。表紙の印象から始まった誤解が、手紙文化への興味につながり、さらに「昔の人のやり取りって面白い」という感想まで生まれる。図書館には、こうした小さな発見が連鎖していく場としての魅力があります。本を手に取った生徒が、そこからどんな世界へつながっていくのか。そんな余白を見守る時間が、図書館の仕事の楽しさのひとつだと感じています。