ひとこまコラム リターンズ
毎月1回、会員が書くコラムが復活しました!
本の紹介や本と人、人と人とをつなげるエピソードなど、学校図書館の日常の一コマを切り取ったコラムです。
学校図書館の様子を覗いてみてください。
☆コラムで紹介している書籍の表紙画像は、 出版社の許可を得て掲載しています。
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ひとこまコラムリターンズ 第89走者
はじめての読者 2026/03/06更新
『シナリオ・センター式物語のつくり方』 新井一樹 【著】 日本実業出版社館 (2023.08) |
「小説の書き方についての本はありますか」
そう聞かれたとき、私は内心驚きました。聞いてくれた生徒は図書館の常連ですが、理系で、今まで依頼されたレファレンスは「有効数字について詳しい説明のある本はありますか」「イヤーワームについて調べたいんです」といったもの。哲学書はよく読んでいるものの、小説を借りたことはない生徒だったからです。
この本を紹介したところ、とても喜んでくれて、「最近小説を書いているんですが、元々小説をあまり読んでこなかったから、どうやったら上手くなれるのかわからなくて」と相談されました。「短編でいいから、いろんな作品を読んで言い回しの引き出しを増やしたり、自分に合う文体を探してみるのはどうかな」とその生徒の好みに合いそうな小説をいくつか紹介し、「もし友達とか家族で見せられる相手がいたら、客観的なアドバイスをもらうのもいいかも」と言ったら、なんと「先生、読んでくれませんか」と言われました。人生で初めて書いた小説の初めての読者ということで、あまりの責任にとっても緊張しましたが、素直な感想を伝えました。その後も小説の進捗について時々話しに来てくれます。小説というとてもプライベートなものを見せてくれるほど信頼してくれたのがうれしく、その生徒にとって創作が幸福な経験であるといいなあと願いながら見守っています。